ピック・アップで助け合い(7)

 

 時には、学年やクラスによって下校時間がずれることがある。そういうときには、授業が済んだ子どもたちを近くの公園で遊ばせながら、“お残りさん”をのんびりと待つのだ。
 ピック・アップは、サラリ−マンや通学する子どもたちだけでなく、日常生活にもごく自然に溶け込んでいる。あるとき、私たち一家はタクシ−を待っていた。友人に招かれてみんなで出かけることになったのだが、その夜は確実にアルコ−ルを口にする予定? だった。
 オ−ストラリアでは、交通事故の件数に比べて、死亡率が圧倒的に高い。そのほとんどの原因は、飲酒運転にある。まだ死ぬには早過ぎる? ので、友人の家にはタクシ−で行くことにしたのだが、実はメルボルンで、夜タクシ−を拾うのは至難の技なのだ。
 タクシ−の運転手は、みんなが遊んだりくつろいだりする時間に働かなければならない。
だから、運転手のなり手は少なく、運行する車も限られるので、当然“至難の技”になる。
 なかなか来ないタクシーを待っていると、見慣れた車がスーッと近寄ってきた・・・。