「オ−ストラリア人気質の詳細」(12)

 

 どういう訳か、本家ではとっくに見かけなくなった旧型の日本製の車が、メルボルンの街を元気に? 走り回っている。
 湿度が低いため車のボディが腐らないせいか、あるいは「車は走ればいい」と割り切って外観にこだわらない国民性の違いからか、とにかく信じられないほどの“ポンコツ車”が堂々とまかり通っている。ボンネットがきちんと閉まらないため、針金で止めている車。燃料タンクのキャップの代わりに、ぼろ切れが詰めてある車。あちこちにぶつけた痕跡のある“歴戦の車”などなど・・・。
 私たち日本人なら「カッコ悪くて、とても運転できないような車」が走っているのだ。
 公共の交通機関があまり発達していないこの国では、車がなければ毎日の生活は成り立たない。だから、車は床の間の置き物のように“ピカピカに磨き上げるもの”ではなく、人間の足代わりとして、とにかく「動いてくれさえすればいい」というのだろう・・・。