余った料理は「お持ち帰り」のさらに続き

 

 押しボタン式の大型スイッチを、“押す”というよりは、“押し込む”と言った方が適切だろう。
 とにかく、グイ−ッと押すと、階段の明かりがつく。
 しばらくすると、このスイッチは少しずつ浮き上がってくる。つまり、元に戻ろうとするのだ。
 その速度は非常に遅いので、とても動いているようには見えない。
 長さ2センチほどのボタンが戻るまでには、10分ぐらいかかる。
 このボタン・スイッチが元の位置まで浮き上がると、階段の照明は自動的に消えるという仕組みだ。
 私がいくら“へべれけ”に酔っていても、また部屋が3階にあっても、10分もあれば、間違いなく我が家にたどり着くことができる・・・。