死者と生者

 

 これは、私が受けたカルチャ−・ショックの中で、最も“辛い思い出”の一つだ。
 1972年6月14日、インド・ニュ−デリ−のパラム国際空港の近くで、日本航空のDC8型機が墜落し、乗客と乗員合わせて89人のうち、86人が死亡するという痛ましい事故が起きた。
 実は、この犠牲者の中に、メルボルンを首都とするウ゛ィクトリア州に住むオ−ストラリア人が17人含まれていた。このうち16人は、「ジ・ユナイテッド・キングダム・セツラ−ズ・アソシエ−ション」に所属する会員で、何年にも渡って旅行資金を積み立て、祖国イギリスへ里帰りする途中だった。
 イギリスにいる親類や友人に会うのを楽しみに、3班に分かれて出発したのだが、そのうちの1班が、不幸にもこの事故に遭遇したのだ・・・。