夜行列車のハプニング(4)

 

 彼女は、すでに5本の缶ビ−ルを空にしていた。手提げ袋の中は空き缶だけで、もうビ−ルは残っていないようだ。
 最後のひと缶? を開けて、二口三口飲んだところで、睡魔? か、酔魔? に襲われて、コックリコックリし始めた。
 彼女は、息子の自慢話をしながら、「飲み物などの車内持ち込みを禁止しているのに、列車の売店が早く閉まるのはおかしい!」と、しきりに文句を言っていた・・・。
 車内では、売店で販売しているものしか飲み食いすることは許されていない。
 だが、当の彼女は、自ら持ち込んだビ−ルを、こっそりと口にしていた。
 私とのひそひそ話の合間に、グイ−ッと飲み、それが癖らしく手の甲で唇をぬぐっては、また話しかけてくる。私は、終始「聞き役」だった・・・。