牧場巡りツア−(16)

 

 私の人生の中で、こんな幸せを感じる機会は二度とないだろう。だから、少々長過ぎる関係者の挨拶も、まったく苦にならなかった。
 私の“魂胆”を知らない哀れ? なトムは、私の勧めるままに、シェリ−から白ワイン、赤ワイン、コニャック、そしてウイスキ−と、アルコ−ルを次々と胃袋に流し込んでいた。
「トム! とても70歳には見えないよ。あなたのストマックは本当に丈夫なんですね。うらやましいですよ。“バッカス”にカンパ−イ! われらが英雄トムにカンパ−イ!」
 トムは、私の“リベンジ計画”にすっかり乗せられてしまったようだ。
 ふと気づくと、彼は、豪華な料理にほとんど手をつけることなく、テ−ブル上にうつぶせ状態で眠り込んでいた・・・。