二日酔いに効く薬(1)

 

 トム(アンクル・トムとは別人=印刷会社を経営している友人)は、彼の癖でもある目をパッチリ開けて両手を大きく広げながら、こう言ったものだ。
「こんな“もの静か”なケン(『牧場巡りツア−』で“ケン”というニックネ−ムを頂戴して以来、みんなからこう呼ばれるようになった)を見るのは、初めてだよ。やはり、いつもと様子が違うと思っていたんだ・・・。それならどうだい? これから3人で、二日酔いに効く薬を飲みにいかない? 彼(私の親友である弁護士のこと)と私は、いつもの飲み物にするけどさ」
 私は、その日もまた、“得意”の二日酔いだった。
 トムの奥さんのニ−ナご自慢のロシア料理をごちそうになろうと、弁護士一家とメルボルンの郊外にあるトムの家を訪れたのだが・・・。