白豪主義(6)

 

 結局、6歳の少女は、以前住んでいたフィジ−島に追いやられた。
 その理由は、「皮膚の色が悪いから」だった。
 これより前、当時の移民大臣は、6歳のナンシーさんの国外追放問題について、次のように発表している。
「オ−ストラリアは、これまでも白豪主義などという政策を取ったことはない。オ−ストラリアは、この国にやってくるのにふさわしくない皮膚の色をしている者を、入国させるわけにはいかないだけの話なのだ」(注:微妙な問題なので、発言を忠実に翻訳した)。
 つまり、ナンシーさんの皮膚は、入国を許される“色”ではなかった。だから、オ−ストラリアに生活している姉夫婦のもとで、何の心配もなく養育されることが分かっていても、ナンシーさんを国外に退去させるしか方法がなかったという訳だ。