白豪主義(7)

 

 移民大臣は、さらに、「これは、俗に言う白豪主義とは違う」とも付け加えている。
 この事件から8年が経ち、労働党内閣が誕生して情勢は一変する。
「オ−ストラリア移住者協会」の人々が、ナンシーさんの再移住許可を政府に申請したところ、これが認められたのだ。
 だが、“タカ派”の政治家たちは、「オ−ストラリアをアジア人であふれさせる気か」「アジア人は大家族だ。彼らの移住を認めたら、どういうことになるか」などと、反発している。
 白豪主義を巡っては、オ−ストラリアも時代とともに変わりつつあるが、その前途はまだまだ険しいようだ。
(注) 思い出したこと
 1985年ごろだったと思うが、K大学の文化祭を見学したとき、オセアニアに関する研究サ−クルの学生が、「アジアからオ−ストラリアへ移住する人々の数は、ヨ−ロッパからの移民に比べて決して少なくない」という調査結果を発表していた。
「歳月の流れ」をしみじみと感じた記憶がある。