アボリジニ−(9)

 

 実は、この日、議事堂の前には500人もの原住民が押しかけ、政府の差別政策に反対して気勢を上げた。
 これは、これまでの“原住民運動史上”最大規模の行動となった。
 オーストラリアの原住民の保護に当たっているのは、連邦政府だけではない。
 キリスト教の伝道団は、古くから原住民を救済してきたが、これらの活動で成功している例は、“泣きたくなるほど”わずかだ。
 その中の一つに、1906年に創設された西オーストラリア州のキンバリー地区にある「カランバラ居住保護区」を挙げることができる。
 この地域には、かつては2、000人から3、000人のクイニ族やワランビ族がいたものと推定されているが、今では、わずか200人ほどの“子孫”が細々と暮らしている。