対日本観(8)

 

 年間3・000万トンの鉄鉱石を生産し、そのうちの75パーセントを日本に輸出していたある鉱山会社は、日本の鉄鉱石の需要増を見込んで、新しい鉱山の建設に取りかかっていたからたまらない。
 完成寸前の住宅や学校、病院、ショッピング・センターなど、「まちづくり」が進んでいたとき、日本に不況が訪れたのだ。
「新しいまち」は、保安要員が住むだけのゴースト・タウンになってしまった。
 日本側が引き取り量を削減したため、大量の鉄鉱石は野積みされ、失業者も出た。
 このとき、この国の新聞は「日本の契約違反をなじる記事」を一斉に載せた。