対日本観(9)

 

 世界的に羊毛不況が伝えられる中で、1973年はオーストラリアの牧羊農家にとって、喜ぶべき一年の幕開けとなった。
 倒産と転業が相次ぎ、政府から支給される補償金でかろうじて餓えをしのいでいた羊毛業界は、春にかけて、一気に好況に転じたのだ。
 競り市が開かれるたびに、高値の記録は更新された。
 それどころか、“信じられないような高値”は、さらに「エスカレート」する。
「日本のバイヤーは、今日も高い値段を付けて羊毛を競り落とした。それも、およそ“割りに合わない値段で“・・・。
 このため、ヨーロッパのバイヤーたちは、今日も手が出なかった」。
 新聞は、こう伝えた。