対日本観(10)

 

「古くからのお客である彼らをないがしろにして、果たして、いいものだろうか。
 高値を喜んでばかりはいられない。ヨーロッパのバイヤーを、もっと大切にしなければならない。
 それにしても、こんな“バカ高い”羊毛で作った洋服を、日本では一体どんな人間が着るのだろうか・・・」。
 新聞は、最後に誰もがごく当たり前に抱く疑問を“素直”に述べていた。
 オーストラリアの羊毛相場が暴騰したのは、実は、パンタロンの流行による需要を見込んで、日本の商社などが買いまくったからだ。
 この年(1972年7月から73年6月までの羊毛年度)に日本が買った羊毛は、オーストラリアの羊毛生産量の実に45・2パーセントだった・・・。