まとめ(3)

 

 私は、オーストラリアのことを「豪州」と呼ぶのは好きではない。
 何となく、第2次世界大戦に結びついてしまうからだ。
「豪州」の文字を目にすると、私は、荒漠たる砂漠地帯に今なお眠っていると言われる旧日本軍の飛行機の残骸の話を思い出してしまう。
 これは、オーストラリアの友人から聞いたのだが、その飛行機は、ほとんど人の近づくことのない砂漠に、無惨な機体をさらしているという。
 時が経ち、オーストラリアでは、日本人の友達を持つことが自慢の種になったとも聞いた。
 これは、いろいろな意味に解釈できるだろうが、メルボルンを去る私たちのために、友人の弁護士が開いてくれた「サヨナラ・パーティー」の席上で、彼の述べたスピーチの一節が、私には忘れられない。