ある講演から(8)

 

 ここで、私が困ったことがあります。
 どうやら、「到着した順番に買うらしい」とわかったものの、私は、「いったい誰の次に、この売店に来たのか」知らないことに気づいたのです。
 何しろ、外国人ばかりですから、どの顔も同じように見えます。
 仕方なしに、売店にやってきたばかりの特徴のある「ひげ面」の男性に目をつけ、「この若い男性の後で買うようにしよう」と決めていました。
「次の方、どうぞ」と、例によって店員さんが言いましたが、誰も名乗り出ない。
 一瞬、空白の時間が過ぎたとき、隣にいたおばさんが私に向かって、
「あなたの番ですよ」と言うんですね。周囲のみんなも、ニコニコ笑いながら、私の当惑した様子を見ている。とても、信じられない出来事でした・・・。