「山本康久氏の証言」から(5)

 

 いよいよ「艦隊に編入されよう」というとき、軍司令部から緊急な極秘命令が出される。
 それは、「10日間で、筒搭載装置を装備しろ」というものだった。
 佐世保の工厰だけでなく、わたしたちも、「筒搭載装置」については何の知識もなかったが、とにかく10日間で、「追加工事」を完成させた。
 そして、11月11日に佐世保を出航し、途中で訓練を重ねながら、13日に呉に入港する。
 当時の山本氏は、中尉で「砲術長」だった。
 伊24潜水艦は、2,400トン、長さおよそ100メートル、速力22ノット、乗員100名だった。
「水上速力22ノット」というのは、当時の日本には、わずかしか存在しない「最新鋭の特別な潜水艦」だったという。