「山本康久氏の証言」から(8)

 

 軍縮会議で、米・英・日の補助艦の比率が、「5・5・3」に制限されたことで、日本としては、米艦隊が日本近海の決戦場に到達するまでに、飛行機と潜水艦で攻撃し、「同じ比率にしておきたい」という事情があった。
 だから、機動部隊と特殊潜航艇がハワイまで出向いて、先制攻撃を仕掛けなければならなかった。
 佐世保で、兵隊たちに、「何をしているのかわからない」よう、 二日間に渡って極秘裏に行われたのは、特殊潜航艇を積んだり、発進したりする訓練だった。
 最後に、軍令部と聯合艦隊から参謀がやってきて作戦会議を開いたのだが、「伊24潜水艦を、ハワイ(攻撃)に入れるかどうか」、意見が分かれたという。
 当時、特殊潜航艇を運ぶことのできる大きな潜水艦は、伊16と、伊18、20、22と24の5隻しかなかったからだ。