「山本康久氏の証言」から(9)

 

 文字通り、10日間の「突貫工事」で「筒搭載装置の取り付け」を終えた後、いよいいよ「11月17日に出撃」と決まった。
 だが、訓練できるのは、わずか3日間しかない。
 その上、潜水艦は、技術の粋を集めた「精密な機械」であり、竣工を終えてすぐ戦地に赴くには、問題がありすぎた。
 あらゆる部分に、「故障の心配」があったからだ。
 このような理由で、聯合艦隊の参謀は、
「訓練未熟な伊24が戦争に加わって、途中で故障を起こして米軍に見つかったりしたら、山本(五十六)長官の作戦に支障をきたすのではないか」と、ハワイ出撃をためらった・・・。