「山本康久氏の証言」から(13)

 

 このように、「5対3」の苦しい比率を補うため、「月月火水木金金(注・一週間に、休みが一日もないという意味)」と、猛訓練を続けた。
「10」の兵力で向かってくる米艦隊を、日本近海に到達するまでに、飛行機と潜水艦とで次々と撃沈して、日本に来るときには、敵の主力を「日本と同数までに減らそう」というのだ。
 米艦隊と同じ数ならば、「これだけ訓練しているのだから、勝ち得る」というのが、わが海軍の考え方であり、同時に潜水艦と機動部隊に課せられた任務だった。
 日本海軍の漸滅作戦に対し、アメリカ側は、真ん中に主力艦を置き、その周囲を護衛艦が取り囲んで、「日本軍の潜水艦と飛行機からの攻撃を避ける戦法」をとった。
 日本の近海に近づくまで、日本よりも多くの戦艦数を保持するのが「輪形陣」であり、米海軍の渡洋作戦だった・・・。