「山本康久氏の証言」から(58)


 昭和18年の後半からは、4隻のうち、無事に帰還できるのは「2隻」になった。
 つまり、2隻は沈没して、帰ら(れ)なかったのだ。
 そして、「生還した2隻」に、新たに2隻を加えて出撃する。
 今度も、戻ってくるのは「2隻」だけ。
 また、同じように「2隻を加えて」出て行く・・・。
 わたしが、部下に言い続けたのは、
「誰でも、『自分の艦が沈んでいい』と考える者はいないはずだ。
 みんな、『戦果を挙げて、帰還したい』と願っている。
 だが、2カ月後には、『4隻中の2隻』しか帰ってこないのが現実なのだ・・・」。