「山本康久氏の証言」から(59)


「だから、わたしはとても苦しい。
 もう、どうにも耐えられないというとき、さらに頑張らなければ、君たちも『沈む2隻』の一員になってしまう、と言った・・・」。
 部下に本当に言いたかったは、「人並みの努力では、人並みの結果しか得られない」ということだった。
 このことを「唯一無二の座右銘」として、わたしは努力し、今日まで生きてきた。
 決して、「生き残ったわたしだけが努力した」と言うのではない。
 戦後、民間人として社会に出たが、他人から「よい話?」を持ちかけられたときには、「自分がそれを得るに値する努力をしたかどうか」を考え、「人並み以上の努力を払っていない」と思ったときには、一切乗らないようにしている。
 これが、わたしの「武家商法」で、これまで失敗らしい失敗をしなかった理由の一つだと思っている・・・。