● 作家の描いた「特殊潜航艇」(15)


「伴は私と話をしたがっているのだ。
 しかし、私はあえてそれを語らぬことにした。
 何を語りたかったのか。
 強いて言えば、
『伴、なぜ貴様はそんなに早く死んでしまったのだ』というような言葉であったのかも知れない。
 ── 伴、達者でな。いずれ貴様の艇とも会えるかも知れぬが ──
 私は、そう心のなかで呟きながら、風を通じてなおも語りかけて来る伴に別れを告げ、花束を投下した。」