● 作家の描いた「特殊潜航艇」(16)
「花束は水面に浮き、波に揺れていた。
艇は前進をかけ、花束は後方に遠ざかって行った。
私はしばらく花束の行方を見守っていた。
伴はわかってくれただろうか。(中略)
昭和四十八年三月四日昼、私とA中佐をのせたオーストラリア海軍の高速艇は、シドニー湾のガーデンアイランドに近い、伴勝久の攻撃地点で、花束を投げた後、緑に蔽われたブラッドレー岬の沖をすぎると、左に変針した。
『ここで、マツオの艇が引き揚げられた』
と中佐が説明した。」
「花束は水面に浮き、波に揺れていた。
艇は前進をかけ、花束は後方に遠ざかって行った。
私はしばらく花束の行方を見守っていた。
伴はわかってくれただろうか。(中略)
昭和四十八年三月四日昼、私とA中佐をのせたオーストラリア海軍の高速艇は、シドニー湾のガーデンアイランドに近い、伴勝久の攻撃地点で、花束を投げた後、緑に蔽われたブラッドレー岬の沖をすぎると、左に変針した。
『ここで、マツオの艇が引き揚げられた』
と中佐が説明した。」