● 作家の描いた「特殊潜航艇」(18)


「『そのとき、案内役を勤めたのが私だ。
 マツオのマザーはずい分小さかった。
 それでも船に乗って、ここまで来た。
 彼女はここで、息子のために花を投げた』
 と説明しながら、中佐は入り江の海面を指さした。
 艇はタブロールの入り江に別れを告げて、北東に向かった。
 チャウダー湾を過ぎると、白い灯標のある小さな岬に艇はさしかかった。
『ここがジョージス・ヘッドだ。
 この向うのグリーン・ポイントとの間にアンチ・サブマリン・ネット(防潜網)が張られてあったのだ』
と中佐は説明した。」