● 作家の描いた「特殊潜航艇」(19)


「ジョージス・ヘッドは白っぽい崖で、あたりの水深は深そうであった。
 艇は、右に変針して、グリーン・ポイントに向った。
 途中で艇は停止した。
『このあたりが、防潜網の中央に近い。
チューマン(注:中馬)の艇はこのへんでネットにひっかかって、デモリッシュド・ボム(自爆装置)を爆発させたのだ』
と中佐は言った。
 私はそのあたりの海面を見た。
 海水の色が濃く、ひどく深そうに思えるだけで、今は防潜網はなく、とらえどころのない感じであった。
 私は、焦燥を感じていた。」