● 作家の描いた「特殊潜航艇」(22)


「『マツオの艇を引き揚げてみたとき、一本の発射管からは魚雷が頭を出し、フレーム(枠)に引っかかっていた。
 あのとき、魚雷が命中していたら、シカゴ(注:アメリカの一万トン級巡洋艦)は沈んでいたかも知れない』
 シカゴはこのとき幸運にも助かったが、その二カ月余り後、ガダルカナル付近で行われた第一次ソロモン海戦で鳥海(帝国海軍重巡洋艦:水上偵察機最大搭載数:3機)の猛射を受け、艦首を吹きとばされる大損害を受けた。
 その後の戦歴については明らかでない。
 艇は、サウスヘッドをかわってタスマン海に出た。」