「このあたりから見るサウスヘッドは印象的である。
白と茶のミックスした崖が連なっており、岬の突端には白い灯台がある。
インナー・サウスヘッドの灯台である。
五月三十一日の夜は、初めの間点灯していたというから、三艇はこの灯台を目標にして、湾口を目ざし、ループの上を通過したものであろう。
高速艇は、崖を右に見て大きく左に旋回した。
私は荒々しいその崖と灯台の写真をとりながら、五月三十一日夜、この灯台を見ながら湾口に潜入したときの各艇長の心理を想像してみた。
中馬大尉は機敏に、伴は神経太く、そして、松尾大尉は慎重にこの灯台の位置を測りながら潜入したものであろう。」