● 作家の描いた「特殊潜航艇」(31)


「私は、中佐に訊いた。
『どうして、修理しないのか。
 記念のために壊されたままの形で保存してあるのか』
 中佐は答えた。
『なぜ修理しないのか、私にはわからない。
 しかし、記念のためでもない 。
 私の記憶によれば、この岸壁は、あの夜雷撃によって破壊されたそのままの姿で今もここにあるのだ』」