● 作家の描いた「特殊潜航艇」(42)

「艇は艇首から三分の一の所で、二つに分かれていた。
 前部が松尾艇、後部が中馬艇である。
 二艇の部分を合せて、一艇としてある。
 後部の中馬艇の切断部は、かなり破損が目立った。
 平たく言えば、くしゃくしゃになっていたのである。
 これが自爆装置によって爆発した跡であろう。
 私はそばに近よって、もがれたように切断された艇の残部をなでてみた。
 大きな鋸のようにぎざぎざしており、自爆の激しさを物語っていた。」