● 作家の描いた「特殊潜航艇」(47)
「日本のように、有毒ガスや煙に汚染された空ではなく、そこには正に、まじりけのない空そのものがあった。
丸いドームの上にかかる蒼穹を仰ぎながら、私は考えていた。
─── 人間は美しく死ぬか、醜く生き残るかである ───
どこかでそのような声が聞こえた。
私はその章句に抵抗を感じながらも、やはり共感を抱いていた。
空の美しさが、私にそのような作用を与えていたのであろう。
出来ることならば、私もあの空の青のなかに溶けこんでゆきたい、と私は希っていた。」