● 作家の描いた「特殊潜航艇」(62)

 
「実は、特潜攻撃でもっとも戦果のあがったのは、マダガスカルなのである。
 戦艦ラミリーズ型一隻大破、油槽船一隻撃沈というのは、一つの艦隊並みの戦果である。
 但し、ここに一つ残念なことがある。
 それは、当時ディエゴ・スアレスを警備していたフランス軍は、この攻撃を日本軍の攻撃とは信じていなかったことである。
 特潜攻撃は、直接の戦果も大切であるが、何よりも母艦の潜水艦によって敵の領海深く潜入して奇襲を行い、これに心理的脅威を与え、制海権をゆるがせることが大きな目的であった。」