● 作家の描いた「特殊潜航艇」(73)

「次の日の夕方私は徳島県川田にある酒巻の家を訪れた。
 吉野川の上流にある静かな農村である。
 本編にあるように、酒巻はもうすでに結婚していた。
 彼は私を歓迎して、酒やら餅やらで接待してくれた。
 しかし、私が特潜攻撃の取材に来たというと口をつぐんでしまった。
 私は酒巻の家に二泊してねばった。
 根負けした彼は、「新聞に出さないなら話してもよい」ということで、概貌を話してくれた。」