●「続・知らざる日豪関係」(18)

 〜中野不二男さんの「カウラの突撃ラッパ 零戦パイロットは なぜ死んだか」より〜


「『そうですわ、南の国で忠義を尽す男ゆう意味の名前やて、みんないうとりました。
 海軍のパイロットだったとかで、オーストラリアの北の方を、二十何回も攻撃したことのあるやつやいうとった。
 がっちりしたええ体格しとってな、右目の上のここんところ、ちょうど目と眉との間に大きな傷があったけど、結構ハンサムやった』
 天井に取り付けられた大きな扇風機の羽根が、いかにも熱帯らしくゆっくりと回り続ける部屋で、パイプの煙をくゆらせながら、ヤスムラは淡々と話を続けた。」