●「続・知らざる日豪関係」(27)

 
 〜中野不二男さんの「カウラの突撃ラッパ 零戦パイロットは なぜ死んだか」より〜


「そうした中で、ある老人は、私の眼を見据えながらこういった。 
『君らの世代には、あの事件は理解できぬことかもしれない。
 いや、理解しろというほうが無理だろう。
 あの当時、日本兵は捕虜となることを最大の恥辱として教え込まれていた。
 捕虜となった以上、残された道はただ一つ、死ぬことしかないと思っていたのだ。
 捕虜となることは、戦場の最前線で死力を尽して戦った証明でもあるとしていたわれわれとは、まったく違う考えをしていたのだろう。
 さらに、エムペラーは神であり、その神に己の生命を献じることにより、不滅の生命を得る。』」