●「続・知らざる日豪関係」(28)

 〜中野不二男さんの「カウラの突撃ラッパ 零戦パイロットは なぜ死んだか」より〜


「『死とは単に現世から次の世への旅にすぎぬと信じていたのだ。
 したがって戦場で死ねなかったかれらは、その身を恥じて、結果としてあの暴動による集団自決を選んだのだ』
 多少極端な面はあるが、これがほとんどの人の意見の、共通項であった。
 また、知識人と呼ばれる人々の間では、この事件に関してさまざまな議論が交わされ、いくつかの本も出版されていた。
 その内容は、時代の推移とともに新事実、新証言、連邦政府が新たに公開する資料にもとづき、なんとか日本人を、あるいは日本軍といものを究明しようとするものだった。
 私は、むさぼるように、そうした本を読みあさった。」