●「続・知らざる日豪関係」(29)

 〜中野不二男さんの「カウラの突撃ラッパ 零戦パイロットは なぜ死んだか」より〜


「だがいずれも、読み終わるたびに苛立ちを覚え、結果的にはパブで聞かされたあの老人の言葉と大同小異でしかない、と思った。
 したり顔をして事件の説明をする外人ジャーナリストや知識人に対し、戦後派日本人の私は、激しい抵抗を感じた。
 そうした内容のすべてが、ある種のステレオタイプ的発想により、日本人を特殊民族、あるいは異質民族扱いし、それにより説明づけようとするものだったからである。
 だが、もしこれが日本国内であったならばどうだっただろうか。
 結果は同じことだったに違いない。」