〜中野不二男さんの「カウラの突撃ラッパ 零戦パイロットは なぜ死んだか」より〜
「元軍人たち、あるいは戦争経験者たちは、われわれの知らぬ『経験』を盾に取って、『戦争とはそういうものなのだ』とやり込めてくるだろう。
歴史の本で読んだことのある『生キテ虜囚ノ辱(はずかしめ)ヲ受ケズ 死シテ罪禍ノ汚名ヲ残スコト勿レ』という戦陣訓を思い出し、何度も復誦してみた。
しかし、戦後派の『わが内なる日本人』には、何の感動も呼び起こさない。
実感が、まったくつかめないのだ。
カウラ収容所にいた人々は、捕虜だった。
戦争経験者にいわせれば、捕虜は戦場で『死ねなかった者』だというのだろう。」