●「続・知らざる日豪関係」(45)

 〜中野不二男さんの「カウラの突撃ラッパ 零戦パイロットは なぜ死んだか」より〜


「しかし、ようやく南忠男の捕虜名簿は見つかった。
 オーストラリア軍により逮捕された日本軍捕虜、それもオーストラリア本土における捕虜第一号として、かれは登録されていた。
 縦二0センチ、横三0センチほどの白い捕虜名簿には、用紙の中央上端に、連邦政府のカンガルーとエミューを配した紋章があり、その下に『TADAO MINAMI』、登録番号『PWJA 110、001』とあった。
 そして用紙に左上には、『INTERNEE(民間人抑留者)』、『PRISONER OF WAR(戦争捕虜)』と二つの呼称が並び、INTERNEEの方はタイプライターの『X』の連打により消されていた。」