●「続・知らざる日豪関係」(55)

 〜中野不二男さんの「カウラの突撃ラッパ 零戦パイロットは なぜ死んだか」より〜


「再度私はキャンベラへもどり、戦争記念館の資料室へ行った。
 資料室を訪れる人々は少なくない。
 とくに日本軍関係の資料は、歴史家はもちろん政治学、心理学、日本学(JAPANOLOGY)を専攻する学者学生などがあまりに頻繁に閲覧に来るので、資料の出し入れが面倒臭くてたまらないと、担当者がぐちをこぼすほどである。
 しかし同じ日本軍の資料でも、捕虜のことばかり調べにくる若者、それも日本人はほとんどいないらしく、私はすでに係員に顔を覚えられていた。」