●「続・知らざる日豪関係」(59)

 〜中野不二男さんの「カウラの突撃ラッパ 零戦パイロットは なぜ死んだか」より〜


「戦争記念館資料室は、そうした全オーストラリア公文書保管室の、いわば目録をまとめたカード・ケースのような機能を持っているのである。
 フォーガティー氏に教えられたとおり、私はキャンベラの郊外にある、公文書保管室へ行った。
 木造二階建ての老朽化したメルボルン公文書保管室に比べ、こちらはいかにも人工都市にふさわしい建物である。
 ハチの巣状のカプセル群を横にしたような近代建築で、直射日光をさえぎるためか、窓もドアもことごとくオレンジ色のミラーとなっていた。
 そのドアの一つをあけて入って行くと、すでにフォーガティー氏が電話連絡しておいてくれたらしく、担当の人が資料を閲覧室に運びこんでいるところだった。」