●「続・知らざる日豪関係」(68)

 〜中野不二男さんの「カウラの突撃ラッパ 零戦パイロットは なぜ死んだか」より〜


「四箱のダンボール箱いっぱいの資料で、ダーウィン空襲の経過と日本軍機の被害を知ることはできたが、南忠男につながる決定的なものは得られなかった。
 だがもしも、南忠男がこの空襲に参加していたとすれば、前述の二つの報告書にある「撃墜確実、不確実」のうちの、いずれか一機の搭乗員であったことは考えられるわけである。
 ただしオーストラリア軍側が、たとえ一機でも本当に撃ち落としていれば、の話だが。
 心もとない手がかりではあるが、集めた資料のコピーを手に、私はオレンジ色のドアをあけて、キャンベラの公文書保管室を出た。(中略)」