●「続・知らざる日豪関係」(69)
〜中野不二男さんの「カウラの突撃ラッパ 零戦パイロットは なぜ死んだか」より〜
「速記録(注:空襲後、被爆地ダーウィンで開かれた連邦政府の諮問委員会の速記録)の会話の中には、それぞれの日本人の捕虜番号も姓名も、残念ながら示されてはいないが、全体から受ける印象として、かれらがダーウィン空襲後最初にオーストラリア軍に逮捕された日本人であるという可能性が、非常に強い。
もしそうだとしたら、この中にある「飛行服の男」というのは、南忠男のことではないのだろうか。
南の捕虜番号はPWJA 110、001、つまり捕虜第一号である。
それにほかの五人の日本人は、ベル中尉(注:空軍側から、諮問委員会に出頭を命じられた軍人)が報告しているとおり船乗りだろう。
ただし、この太平洋戦争の緒戦当時に、「商船員」ということはまずあり得ないから、おそらく軍の輸送船に乗り組んでいた、軍属としての船員だろう。」