●「続・知らざる日豪関係」(85)

 〜中野不二男さんの「カウラの突撃ラッパ 零戦パイロットは なぜ死んだか」より〜


「ヤスムラ(注:真珠貝採取の移民)は、『南の国で忠義を尽す男』という意味の偽名だといっていたし、また森木氏も『カウラ出撃』の中で、それに相違ないと書いていた。
 おそらくはかれらのいうとおりだろう。
 一九四二年二月十九日のダーウィン空襲から逮捕される二月二十四日までの五日間に、かれ自身が考えた名前に違いない。
 かれはどんな気持ちをこめて、この名前を自分につけたのだろうか。
 二日目の訊問は、前日の調書内容を補うためのものだったようだ。」