●「続・知らざる日豪関係」(88)

 〜中野不二男さんの「カウラの突撃ラッパ 零戦パイロットは なぜ死んだか」より〜


「しかし、その二つとも、どうも該当しないように思う。
 とくにパラシュートという脱出の手段は、他国の軍隊ならともかく、日本軍の場合はあまり行われていなかったのではないだろうか。
 過去に私が読んだ戦争関係の本には、たしかに日本軍の飛行機の場合も、大型小型を問わず機内にパラシュートを装備してはいたようだが、搭乗員たちの『愛機を見捨てず』という意識が強かったからか、本土基地における試験飛行など特殊な場合を除いては、パラシュート脱出などの記述はほとんどなかったように思う。
 それどころか、『生還を期して戦果は期待できず』という言葉や、『被弾した場合は、いさぎよく目標物を定め、自爆する』といった言葉が、航空隊の場合には、頻繁に出ていた。」