●「続・知らざる日豪関係」(90)

 〜中野不二男さんの「カウラの突撃ラッパ 零戦パイロットは なぜ死んだか」より〜


「それとも被弾による被害が大きくて、すでに飛行はもちろん滑空も不可能になり、墜落してしまったのだろうか。 
 もっともこれを考える場合、南の零戦はどこで被弾し、どの程度の被害を受けていたのかが、大きな問題になる。
 もし高射砲でやられたのであれば、これはダーウィンからさほど遠くはないことになるし、その場合は『目標物』はいくらでもあったはずだから、それに向って体当たりを試みていたかもしれない。
 それとも南は、私が先に『まゆつばもの』と書いた、オーストラリア空軍のP40により、メルヴィル島付近で撃ち落とされていたのだろうか。
 残念ながら、公文書にある敵機撃墜の報告には、その機種が明記されていないので、高射砲による被弾か、P40による被弾か、そしてどこで被弾したのかはまったくわからない。」