●「続・知らざる日豪関係」(98)

 〜中野不二男さんの「カウラの突撃ラッパ 零戦パイロットは なぜ死んだか」より〜


「そして戦争中の記録で、今なお一般公開されず担当機関に保管されているものも数多いことだろう。
 しかしそうはいうものの、それは現在の外交や内政問題に影響を及ぼすほどの、極秘文書の類いであり、まさか三十数年前に撃墜された飛行機の調査報告を、いまだに関係機関が未公開のまま保管しているとは思えない。
 たしかに零戦は優秀な戦闘機ではあったが、このマッハを競うジェット機の時代に、それを研究する機関などまずないだろう。
 そう思いながら、私は担当機関であるオーストラリア空軍の、戦史研究室へ電話を入れてみた。
 ところが、あまり期待せずにかけた電話が、まったく思いもよらぬ発展につながる糸口となったのである。」