●「続・知らざる日豪関係」(99)

 〜中野不二男さんの「カウラの突撃ラッパ 零戦パイロットは なぜ死んだか」より〜


「電話に出た研究室員ボブ・パイパー氏が、この零戦の機体の所在を知っていたのだ。
 それも職務としてではなく、オーストラリア各地にある大戦中の軍用機を個人的に調べているかれが、その一つとしてこのメルヴィル島の零戦に関心を持っていたためにである。
 電話口で喜ぶ私にパイパー氏は、『ラッキーでしたね』と繰り返していたが、まったくそのとおりだ。
 もし電話しなければ、また電話してもほかの研究室員が出ていれば、零戦の所在を知ることはできなかったかもしれないのだ。
 私はすぐに空軍のオフィスへとんで行き、パイパー氏に会った。」