●「続・知らざる日豪関係」(107)

 〜中野不二男さんの「カウラの突撃ラッパ 零戦パイロットは なぜ死んだか」より〜


「荒れ果てた格納庫跡には、以前からそこに保管されていたらしい大型機の垂直尾翼が、鮫の背ビレのように夜空に突き出ていた。
 オフィスに入ると月例研究会はすでにはじまっていて、会員各自がそれぞれが持っている課題に関し、中間報告をしているところだった。
 森林地帯のどこかにあるらしい大戦中の米軍機を捜している者、やはり大戦中の小型戦闘機を捜し出してきて、その完全復元作業に励む者など、さまざまである。
 二十人ほどからなるこのノーザン・テリトリー航空史研究会の会員たちは、ほとんどがパイロットかあるいはライセンス保有者であり、かつ航空機愛好者という戦中、戦後派の人々だった。」