●「続・知らざる日豪関係」(108)

 〜中野不二男さんの「カウラの突撃ラッパ 零戦パイロットは なぜ死んだか」より〜


「会員らの報告が全部すんだあと、話題は私の取材内容に及んだ。
 概略をあらかじめ連絡しておいたせいでもあるが、かれらの関心は非常に強かった。
 零戦に関して、それもこの第一号『捕獲品』と思われる零戦に関して、興味のない者はいない。
 まして機体を保管しているかれらが、そのパイロットである人物についてはもちろん、それにまつわるエピソードを知りたくなるのは当然のことだった。
 私は順を追って南の話を、そしてなぜこの機体を調べるに至ったかを説明したあと、かれらに協力を求めた。
 そしてひととおり話がすんだところで、研究会の代表らしき人に促されてオフィスを出ると、零戦の機体が保管されているという格納庫の中に入った。」