●「続・知らざる日豪関係」(111)

 〜中野不二男さんの「カウラの突撃ラッパ 零戦パイロットは なぜ死んだか」より〜


「もしこれに風防があったなら、息がつまる思いだろう。
 こんな狭い席内に、かれらパイロットたちはたった一人で乗り込み、そして敵機を追い、敵機に追われ、撃ち合っていたのだろうか。
 これはまるで、『空飛ぶ柩』だ。
 体の向きを変えながら、席内を見回してみた。
 もとより座席などはなくなっている。
 操縦桿もパネルの計器類も、およそ部品らしきものは何もない操縦席で、私は南がそうしていたであろう位置に、両サイドに手をふんばりながらパイロットの姿勢を真似てみた。」